家を建てるとなると、気になってくるのが「どこに家を建てようか?」という疑問。
そこで実際に土地探し進めていくわけですが、まずは「土地の選び方」を知った上で自分で土地探しをするか、不動産会社に相談するかしたいところだと思います。
「どこに家を建てて住むか」は基本的に家づくりをする個人の判断となります。土地の購入を検討しているエリアの不動産会社に相談するにあたって、そもそもエリアの選択が間違っていてはどうしようもありません。
そこで、まずは正しい土地・エリア選びの視点をもつこと、それから土地を実際に目で見てチェックできるようになることが、不動産会社の都合で土地探しをすることにならないために重要になってきます。
それではそのように正しい視点をもつことで、失敗しない土地探しのポイントについて説明していきます。
◆この記事を監修する専門家目次
住みたいエリア(土地の場所)を決めるには
ロケーション選びにおいて重要なのが、新しく家づくりをして住みたいエリアを正しく判断すること。
1つや2つであれば想像のつく確認すべき点もあるかと思いますが、意外に実際これから家づくりをするエリアに住むにあたって今後気になってくるような、将来の暮らしや自然環境のことなどは見落としがちだったりします。
ここでは、住宅候補地を決めていくにあたって確認しておきたい、エリア選びのポイントについて説明していきます。
土地の相場から確認する
まず確認しておきたいのが「土地の相場」。気に入った土地があったとしても、それが相場と比べてどうかが分からなければ「いい価格の土地かどうか」を判断することはできません。
そのため、まず気になるエリアを見つけた場合は土地の相場を確認することで、早めに「そのエリアで家づくりを検討すべきかそうでないか」を確かめておきましょう。
では、気に入った土地の相場を知るためにはどうすればいいのでしょうか。主に確認したほうがいいもの代表的な例としては、「公示価格」があります。
「公示価格とは?」
毎年1回、国土交通省から発表される土地の評価額のこと。土地の公正な取引や税金の算出のための目安となっている。
公示地価は、国土交通省のサイトから簡単に確認することができます。
具体的にどうやって公示価格を確認するかというと、まずトップページから都道府県を選び、続いて地域を選ぶと、検索条件を設定する画面に移ります。その後、「対象」で地価公示を選びます。調べたい土地に応じてその他の検索条件を設定することで詳しいデータも分かるようになっています。
例として、東京都千代田区の公示価格を表示すると次の画像になります。
東京都千代田区の公示価格
将来の暮らしに適しているかを確認する
土地の相場を見て気に入った土地があったとしても、それだけでは安心してはいけません。なぜなら、将来も自分が気に入っているとは限らないからです。そこで土地選びに必要な視点、「将来の暮らしに適しているか?」を考えてみてください。
たとえば将来の暮らしで考えられる変化としては下記のものが考えられます。
- 購入時の子どもの生活だけを考えてしまった結果、「今のライフスタイル」に合わないことに数十年後に気がつく
- 家の前の景観が気に入っていたのに、新しく道路が作られることになった
- 大型ショッピングセンターが建設され、生活環境が変わった
などということが、暮らしにおける変化として考えられます。もちろんいい変化もあれば、困った変化もありますが、推測できる範囲で考えておくと後悔することは避けられるかもしれません。
そこで、
- 子どもが大きくなって家を離れたときの暮らしをイメージしておく
- 新しい鉄道や道路を作る計画が市町村にあるか調べる
- 大型ショッピングセンターや施設の建築でどれくらい生活環境が変わるか把握しておく
など、今後を推測する視点をもっておきましょう。全てが把握できるわけではありませんが、今できることも多いことも確かです。土地探しの段階から将来の暮らしまでを見据えて考えておきましょう。
土地回りの自然環境を確認する
次に確認しておきたいのが、土地回りの自然環境。
自然環境とは、日当たりや夜道の明るさなどのことです。土地探し・土地選びにあたって、いずれも確認しておきたいものです。
- 日当たりがいいか
- 夜道は明るいか
- 家の周りに緑は多いか
- 風の通りはいいか
- 悪臭や騒音のする工場が近隣にないか
などは実際に住んでから生活をする上で気になってくるポイント。どれも問題のない、完璧なところの土地を手に入れるのは難しいとしても、ストレスに感じるほど自然環境の悪いところはできる限り避けたいですよね。
土地を決めるにあたっても、自然環境の視点から見ても住みよいかどうかは確認しておきましょう。
交通・施設までのアクセスを確認する
家からの通勤や通学において公共交通機関を利用される方、または車を利用される方がいるかと思います。
そのため、勤務地や学校からのアクセスのよさが暮らしやすさに大きく関わってきます。できるだけ普段通うところからは近いほうがいい場合もありますが、勤務地から少し遠くても、電車の遅れがない、始発駅からゆったり座ることができる、渋滞しにくい、などにより快適な移動が出きる場合もあります。
他にも、
- 病院へのアクセス
- スーパーへのアクセス
- 都心へのアクセス
など、自分の暮らしにおいて大事になる場所の優先度を高くしてアクセスを調べるといいでしょう。
そうすることで、選んだ土地の満足度も大きく変わってきます。
子育てをするにあたっての安心度を確認する
もう一つ、「子育ての安心度」を土地を選ぶにあたって調べておくといいでしょう。
先ほど学校へのアクセスについては触れましたが、その他にも子育ての安心度に関わることで確かめたい点として、
- ご近所付き合い
- 通学路の安心性
などの点があります。
ご近所付き合いや通学路の安心性は、その土地の近くに住んでいる人でない限りなかなか分からないもの。その土地の不動産会社や、機会があれば実際に住んでいる人などに直接話を聞くなどして、子育てのしやすい、暮らしやすい場所かどうかを確認しておきましょう。
以上、これまで正しい住まいのエリア選びにかかせない、確認しておきたいポイントについて見てきました。
エリア選びにあたっては個人個人の思い描く暮らしによって、確認する内容が一部変わってくるものの、共通している内容も多いかと思います。
それぞれの視点を持ちながら土地選びをするようにしましょう。
土地を見るときのチェックポイント
次に確かめたいのが、土地そのものの状態について。地盤のチェックに始まり、土地の高さや上水道の位置などが土地の確認点になってきます。
場合によっては造成工事といって、家を建てて住むために必要な土地の工事(地盤改良など)をする必要が発生してくる場合があります。そうなるとその分の費用が発生してきます。
以下では簡単に土地のチェックポイントについて見ていきましょう。
地盤は大丈夫か
土地の状態として一番にちゃんと確認しておきたいのが地盤の状態です。
軟弱地盤の上に家を建てると、家が傾く『不同沈下』が発生する恐れがあるとも言われているため、注意が必要です。
特に、その土地の過去において、
- 水のあったところ(河川敷や沼地・水田など)をうめ立てた土地
- 傾斜にもり土をして作られた土地
などは注意が必要です。
実際には住宅会社など会社の方で土地の状態を確認する地盤調査を行うため、任せておけば大丈夫なケースが多いです。「水はけが悪そうだなぁ」「地名に”水”という単語が入っているけど、昔は海や川の水が流れていなかったのかな?」など気になった場合は一度尋ねてみるといいでしょう。
道路より高いか低いか
家を建てる土地と道路とを比べてみて、高低差があるかないかが次のチェックポイントです。
道路との高低差があった場合はどうなるかというと、どちらも造成工事が必要となってきます。なぜ道路との高低差があるといけないのかについては以下にまとめました。
「道路より”低い”土地の場合に起きてしまうこと」
- 雨水が入ってくる
- 車が入れない
- 家庭排水が流れない
「道路より”高い”土地の場合に起きてしまうこと」
- 車が入れない
- 土が溢れる
上水道の位置はどこか
上水道の位置を確認しておきましょう。なぜなら、給水引き込み管の径変更が必要になれば費用がかかってくるからです。
※給水引き込み管の径変更とは…いわゆる給水管のサイズを変えることです。給水引き込み管の径は大体13mm、20mm、25mmのどれかです。
ただ、以前にその土地に住宅が建っていれば、すでに給水管は引かれているため追加費用は発生しません。給水引き込み管の径は購入時点では決まっていることが多いです。その径を変更したい場合の水道管交換にかかる費用は自治体によって大きく異なるため、径変更の必要があるときは自治体ごとにかかる金額の確認をしましょう。
また、そもそも上水道がない場合も地域によってはあります。
厚生労働省が発表した「給水人口と水道普及率」(2016年3月31日現在)によると、水道(上水道、簡易水道、専用水道の合計)の普及率が100%あるのは東京都、大阪府、沖縄県だけです。90%に満たない県もあるため心配な方は早めに確認しておいたほうがいいかもしれません。
そのほかにも、
- 道の広さ(車、トラックが入れるか)
- 電線、高圧線の工事
- 埋蔵文化財の有無(教育委員会に確認)
など、土地に関連して追加費用の発生してくるケースがあります。
このように、造成工事はあらゆるケースにおいて発生してくる可能性が考えられます。実際にはそれほどかからなくて済んだということもあれば、意外にかかってしまったということも考えられます。
金額の変動は、できるだけ早めに気づいて把握しておきたいもの。そのため気になる土地を見つけた場合には、土地の状態を確認する必要があるのです。
家の建てることのできる「土地の要件」について
土地には、家を建てるにあたって決められているルールがあります。
土地探しが進み、自分にとってピッタリだと思う土地が見つかったとしても、家の建てられない土地だったとしたらまたイチからやり直さなければなりません。
ここでは正しく家を建てるために必要な、建築基準法や都市計画法などの規則を確認していきましょう。
都市計画法の「都市計画区域」かどうかで家が建てられるかが分かる
都市計画法とは「まちづくりの基本計画」であり、さまざまな土地関連法の中心として位置付けられるものです。
その整備を行なっている地域を「都市計画地域」といいます。「市街化調整区域」は原則、一般の住宅が建てられませんので注意が必要です。
都市計画区域は、原則として都道府県が指定しています。そのため、家を建てる土地が都市計画区域がどうかを確認する際には、市役所や区役所に聞いてみることとなります。
また、自分で調べることもできます。「新宿 都市計画区域」などとインターネット検索すると、市町村や区が提供しているデータが見つかります。(提供していない市町村もあります。)
建てられる家の面積を確認する
どれくらいの規模の家が建てられるかが分からなければ、家を建てることはできません。
家を建ててからオーバーしていることに気がつき、あとから家を一部削る…なんてことはしたくないですよね。
家を建てられる家の面積は、「建ぺい率」と「容積率」から確認することができます。
住環境を大事にする地域ほど面積の制限が厳しいことも。土地選びが進み、購入する前には必ず確認しておきましょう。
「建ぺい率」
「建ぺい率」とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
「建ぺい率の計算方法」
建築面積 / 敷地面積 × 100 = 建ぺい率
「容積率」
「容積率」とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。
「容積率の計算方法」
延床面積 / 敷地面積 × 100 = 容積率
※建築面積とは?
建築面積は、建物を真上から見て外周で囲まれた部分のこと。外壁や柱の中心を基準に計算することができます。2階が1階より大きいときは2階を投影した面積となります。
※延床面積とは?
延床面積は、各階の面積の合計のこと。各階面積は外壁か柱の中心線で囲まれた面積を指しています。
高さの規制は大丈夫か
建物の高さには「絶対高さ制限」「北斜面線制限」「道路斜線制限」という3つの規制があり、その中で一番厳しい制限にしたがわなければならないという決まりになっています。
こちらについても各自治体ごとに条件が変わっているので、お住まいの地域の自治体に直接確認して聞いてみることをおすすめします。
まとめ
以上、家づくりにおける土地探しにおいて確認しておきたいポイントについて見てきました。いかがでしたでしょうか?
土地についての確認は、ついついおろそかになってしまうもの。家のことやお金のことが気になるところですが、土地にもさまざまな注意点があることが分かっていただけたのではないでしょうか。
土地探しの段階ごとに気になることもまたあるかと思います。その都度確認しておくことで、安心して家づくりを進めることができるようにしましょう。
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