事前審査をするのは何のため?

事前審査

家づくりを始めたいと思った時、みなさんは何を最初に考えますか?家のデザインですか?間取りでしょうか?それとも家を建てたい場所でしょうか?

夢や希望を叶えるための形を考えることは大切ですが、それと合わせて、お金の面でその夢や希望が叶うかどうかを考えることも大切です。全額を自分の財布からだけでまかなう方は、少数派なので、住宅ローンを組むことが必要になってきます。

今回は、住宅ローンがいくらまでなら組めるかをあらかじめ知るための「事前審査」について、お伝えします。

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そもそも住宅ローンの事前審査とは?

住宅ローンの事前審査とは、あらかじめ住宅ローンを借りることができるのかどうかの目安を、購入希望者、不動産会社がお互いに知っておくために行うものになります。

どれだけ夢や希望を反映させたとしても、それを実現できる資金の確保ができなければ、家を建てることはできないからです。そのため、事前審査でいくらまでなら借りられそうかを確認して、家造りのプランと資金力の双方が確認できてからでないと、売買契約もしないという不動産会社もあります。

事前審査で落ちる理由

事前審査の申込みをした所、「住宅ローンは貸せません」という回答が出るケースもあります。主な例として2つお伝えします。

CIC等の金融系

各金融機関がみなさんの個人情報を確認できる共通のデータベースがあります。「個人信用情報」と言われるものです。

ブラックリストに載るという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。ブラックリストというリストが存在するわけではなく、この個人信用情報というデータベースに金融事故があったという記載がされることをブラックリストに載るというように言われているのです。

この金融事故があると「住宅ローンを貸しても返してくれない人かも」という判断がされて、事前審査で落ちてしまう可能性があります。

では、その金融事故とはどういうことを指すのでしょうか?みなさんにとって一番身近におきる可能性のあることとしては、

  • 「クレジットカードの支払が遅れた」
  • 「携帯電話本体の分割支払が遅れた」

があげられます。特に最近多いのが、携帯電話機本体の分割払いの遅れです。毎月の利用料金ではなく、24回等の分割で携帯電話を購入すると、その分割払いの内容が個人信用情報に登録され、支払に遅れがあると掲載されてしまいます。

少額だからと言って支払期日を守らないと住宅ローン審査にも影響してきますので気をつけて下さい。

銀行の融資条件

個人信用情報の事故がなくても、申し込んだ金融機関の条件を満たしていないということも、事前審査で落ちてしまう理由にあげられます。主な理由としては「勤続年数」と「年収」が考えられます。

会社勤めの場合「勤続1年以上」自営業の場合「営業開始後3年以上」という条件が設けられていることが多く、年収としても「税込100万円以上」という条件が設けられていたりします。勤続年数や営業年数が短い場合、また年収が低めの場合は、長期に渡る住宅ローンを返済し続けられるのかを、金融機関が不安視することが理由としては考えられます。

事前審査のポイントと、準備しておく書類

前節では、事前審査で落ちる理由についてお伝えしました。過去は変えられないので思い当たる場合は勤続年数をクリアするまで頑張るなど条件を満たせるように取り組まれて下さい。

事前審査でチェックされる項目

事前審査でチェックされる主な項目としては「返済比率」があげられます。年収に対して借入の返済がどのくらいの割合を占めているのか、の確認です。

事前審査の段階で、カードローンや自動車ローンなどをすでに借りていれば、それらとこれから組む予定の住宅ローンの返済も含めてチェックされます。

年収が400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下が1つの目安と考えられます。例えば、年収が420万円の方であれば、35%は147万円、1ヶ月にすると12万円強になります。

住宅ローンの希望額から出された毎月の返済額がこの12万円強以下であれば事前審査はOKになる可能性が高いということです。

事前審査で必要な書類

前項でお伝えした返済比率の確認が事前審査では主にチェックされるので、年収が分かる書類の準備は必要になります。会社員の方であれば「一番最近の源泉徴収票」個人事業主の方であれば「確定申告書3年分」を求められることが多いです。

フラット35は事前審査がない?

フラット35は勤続年数などの条件がないため、物件と返済比率の条件をクリアできれば融資を受けられる可能性が高いという意味合いで事前審査がないようなイメージを持たれることもあります。

ただ不動産会社や売主さんの安心につながる意味合いや契約前の確認の意味合いも兼ねて、事前審査の書類を提出して審査してもらうケースが多いです。
フラット35については、下記の記事にも詳しくまとめてあるので参考にしてみてください。

フラット35とは?メリット・デメリットを知ろう

2018年1月19日

事前審査についてのよくある質問

事前審査に受かっても、本審査で落ちることはある?

事前審査に受かっても本審査に落ちることは、可能性としては「あり」ます。

事前審査では自己申告に近い形で源泉徴収票や確定申告書を提出しますが、本審査の際は納税証明書などの公的な書類を提出することになります。公的な書類が事前審査で提出した書類と内容に違いがあるとNGが出る場合があります。

またあまり無いケースですが、事前審査のあと本審査をするまでに車のローンなど新たな借入をしてしまい、本審査の際に返済比率がオーバーしてしまうというケースも本審査で落ちることにつながります。

家族年収での申請は可能?

家族の年収での審査も可能です。ペアローンと言われる商品があるようにご夫婦が共同で家を建てる場合に利用できます。ひとりの収入だけでは返済比率を満たせなくても、2人合わせれば可能である場合には、利用することを検討しても良いと思います。

自営業の人は審査に不利?

自営業だから借りられないということはないです。ただ、事前審査で必要な書類でお伝えしたように、会社員の場合は源泉徴収票1年分だけで良いものが自営業の場合は確定申告書3年分が必要になることを考えると、「安定した収入の継続」という点から、自営業者に対する見方は会社員よりも厳しめに見られていると考えて下さい。

審査が通りやすい金融機関は?

金融機関によって審査の基準や考え方も異なりますし、審査基準を公表している金融機関はないので、どこの金融機関が通りやすいかということは一概に言い切れません。

ただ、国がバックについている住宅金融支援機構のフラット35は、みなさんの持ち家を取得のバックアップを目的にしているので、各金融機関独自の住宅ローン商品よりは審査が通りやすい可能性が高いかもしれません。

まとめ

事前審査は、みなさんの過去の履歴と年収や勤続年数をもとに、返済比率にあてはまるかどうかを見て、「いくらまでなら借りられるのか」を見る1つの目安になります。この目安があることで、不動産会社も売主さんも安心してみなさんとの契約に臨むことができるのです。みなさん自身がいくらまでの資金を準備して家を建てられるかを知る意味でも、具体的な検討を始められた際には、1度事前審査を受けられることをおすすめします。

 

<寄稿者:プロフィール>

斎藤 岳志

斎藤 岳志
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表
百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。
マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。
株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。
現在は、自らの資産運用はほとんど不動産投資に絞って取組んでいる。

※ホームページ:FPオフィス「ケセラセラ横浜」

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