マイホームを建てることは、一生に1度の大きな買い物と言われます。高額な買い物だからこそ失敗したくない。
だからこそ慎重に家の間取りや作りなどには真剣に向き合う方が多いのですが、それと合わせて経済面の住宅ローンも無理なく返せる金額を考えておかないとゆくゆく支払ができないということにもなりかねません。
そんな住宅ローンを借りるに当たっての確認事項を中心にお伝えしていきます。
◆この記事を監修する専門家住宅ローンの事前審査と本審査の違いとは?
マイホームを建てることを考えて不動産会社で話しを進めると「最初に事前審査をしてみましょう」という流れになることが多いです。では、事前審査と本審査は何が違うのでしょうか?
事前審査は「自己申告書類をもとにして、おおわくの目安としていくらまでを借りられるのかを知るために行うもの」、本審査は「事前審査で提出された書類に違いがないかを公的な書類の提出などでさらに裏付けをとって本当に貸して良いかどうかを最終判断するために行うもの」であるというイメージになります。
そのため、事前審査では承認がおりて安心した気持ちで売買契約を結んだにもかかわらず、本審査で承認がおりず、「住宅ローンが借りられなかったためにマイホームを手に入れられなかった」ということも起こりえるのです。
事前審査の確認事項
事前審査ではどういう確認がされるのかについてですが、ポイントとしては
- 「返済比率が条件にあてはまるのか」
- 「勤続年数や年収を確認する中で貸して良い人かどうか」
が考えられます。返済比率に関しては、1つの目安として次の基準があります。
- 年収400万円未満 30%以下
- 年収400万円以上 35%以下
例として年収500万円の方を考えると、年間の返済額の上限は175万円、1ヶ月にすると約14.5万円になるので、毎月の返済額が14.5万円以下であれば住宅ローンを組めるという判断がされます。
仮に「金利2%・35年の住宅ローン」を組む場合だと、年収500万円の方であれば、約4,370万円まで借りることが可能という目安も考えられるのです。
ただし、すでにカードローンや自動車ローンなどの借入がありその返済をしている場合は、14.5万円からすでに払っている毎月の返済額分を差し引いた金額が上限になるので、住宅ローンで借りられる金額も低くなることは覚えておいて下さい。
次に勤続年数や年収での確認に関してですが、勤続年数は会社員の場合「1年以上」、自営業の場合「3年以上」というのが基準になることが多いです。年収に関しては、100万円以上とされている金融機関もあります。
本審査の確認事項
前項では事前審査の確認事項を見てきましたが、ここでは本審査についてお伝えしていきます。基本的には事前審査で行ったことと同じことをするのですが、その内容を公的な書類でも確認して最終判断をすることが行われます。
具体的には収入の証明書類としては納税証明書の提出が求められます。
合わせて、本人確認として印鑑証明や住民票、また必要に応じて通帳や自己資金を確認できる資料、所有している金融資産の資料などの提出を求められることもあります。
自分の資産を開示することに対しては抵抗感を抱かれる方もいらっしゃるとは思いますが、住宅ローンを借りる最終審査のために必要な書類だと考えて頂き、求められた書類や資料の提出は速やかに対応して頂くことが本審査の結果が出るまでの時間の短縮になります。
本審査に落ちた原因とは
住宅ローンは年収や勤続年数などの条件があてはまれば借りられる可能性が高いのですが、最終の本審査で落ちるケースも見受けられます。
どのような時に落ちてしまう可能性があるのかを見ていきたいと思います。
融資時に重点的に確認される項目
「平成27年民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」というものが国土交通省から出ています。その中に「融資を行う際に考慮する項目」に関しての報告があるのでそれを踏まえてお伝えします。
事前審査で見られる返済負担率や勤続年数という点に加えて上位にあがっている確認項目は「借入時・完済時の年齢」「健康状態」「物件の担保評価」という点があがっています。
みなさんの稼ぎの中から返済してもらうことが前提条件にあるので、「住宅ローンを借りている間、定期的な収入が確保できるのか」「収入を確保できる間、健康でいられるのか」「万が一みなさんが将来住宅ローンを返せなくなった場合に、みなさんのマイホームを売却して貸したお金を回収できるのか」を考えるということです。
また平成27年の調査では、前年と比べて考慮する項目としてのポイントが高くなったのが「所有資産」です。これも先程の「マイホーム売却で貸したお金を回収できるのか」の話にも通じるところがあるのかと感じます。
なかなか給与の収入が伸びない今のご時世として、みなさんひいてはご家族としてどのくらいの資産を持っているのかという点は、みなさんが万が一返済できなくなった場合を想定した、金融機関側としての回収できなくなるかもしれないリスクの回避を考えての確認項目であると思います。
個人信用情報機関
金融機関がお互いにみなさんの過去の履歴を見られるネットワークがあります。「個人信用情報」と言われるものです。
これには、過去に自己破産をしたことがあるとかクレジットの支払を延滞したことがある、少額のものでいえば携帯電話機の分割払いを遅れて支払ったというような内容が記載されています。お金の支払に関して約束を守って支払っているかどうかを確認できるデータベースのようなイメージです。
このデータベースに延滞した履歴が残っていると「この人は住宅ローンを貸しても遅れたり返せなくなってしまう可能性がある」と見なされかねません。
うっかりミスの1回であれば事情を話して分かってくれるかもしれませんが、複数回の履歴があると、その過去が原因で、購入したいマイホームの住宅ローンが借りられない可能性が高くなってしまうのです。
まとめ
マイホームの購入にあたって、住宅ローンは切っても切り離せないものです。全額を自己資金だけで家を建てる人は少ないからです。
また昨今は、勤続年数や年収という点だけでなく、年齢やマイホームの担保価値、さらにはみなさん自身の所有資産を確認項目として重視してきています。
特に所有資産を考慮するポイントが高くなってきているので、マイホームを建てたいお気持ちがあるのであれば、購入に向けて今から毎月少しずつでも貯蓄をしていくなどの家計のやりくりをして頂き、所有資産が少ないから住宅ローンが借りられないということがないように、コツコツと準備をすることが大切です。
斎藤 岳志
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表
百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。
マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。
株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。
現在は、自らの資産運用はほとんど不動産投資に絞って取組んでいる。
※ホームページ:FPオフィス「ケセラセラ横浜」
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河野 清博
経営コンサルティング会社にて、住宅業界のコンサルティングに8年従事。「世界で最も納得感のある購買体験を創る」をコンセプトに⋯ >>アウカについて詳しく