土地や建物を購入すると、所有権の保存権登記や移転登記などをします。この登記をする際に必要となるのが登録免許税。そう、家づくりをされる方の多くが関係してくる内容になります。
そうなると「登録免許税って何?」「どれくらいかかるの?」などは意外と知らない方が多いのではないでしょうか?
また登録免許税には、多額の負担を強いられる場合にその負担を減らすことのできる、「軽減措置」を受けられるかもしれません。
そのような「登録免許税」。今回の記事ではこれから不動産を購入する方が、登録免許税とは何か、どれくらい支払えばよいのかが分かるように実際の事例も多くとりあげなら解説していきたいと思います。
◆この記事を監修する専門家登録免許税とは何か
土地や建物を購入した際に行うのが登記の申請ですが、その際にかかってくる税金を登録免許税といいます。つまり、登録免許税は住宅を購入する際には欠かせない費用となります。ここではより具体的な登録免許税の内容について見ていきましょう。
登録免許税がかかるのはどんな場合?
登録免許税はどのような場合ににかかってくるものなのかというと
“登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明の際に課税される税金”
です。すなわち、登録免許税は登記の際に課税される税金だということ。具体的な対象としてよくあるケースは、
・所有権の保存登記
・土地や建物の売買による所有権の移転登記
・相続や贈与による移転登記など不動産権利に関わる登記 など
となります。これから不動産を購入する方は不動産を登記する際に登録免許税が課税されるということを覚えておきましょう。
登録免許税の計算方法とは
登録免許税がかかるのはどんな場合か分かったところで次に気になるのが、登録免許税がどれくらいかかるのかということ。
登録免許税は以下の式で計算することができます。
登録免許税の税額 = 課税標準 × 税率
課税標準は税金を計算する際の算定基準で、たとえばよくあるケースとしては、課税標準が固定資産税評価額(不動産の価額)の場合です。
ただ課税される額については課税税率や軽減措置などがとられるかどうかで異なるため、どれくらいかかるかは断言することが出来ません。
そのため、ここでは不動産購入のシチュエーション別に大体どれくらいの登録免許税がかかるのか見ていきたいと思います。
登録免許税額を確認する: ①所有権移転登記の場合
所有権移転登記とは「不動産を売買・相続・贈与したとき」など、「持ち主から所有権が新所有者へと移り変わる際に行われる登記」のことをいいます。
(所有権移転登記が発生した場合の例)
・中古の建物を購入した
・親から土地を相続した
・親が子どもに土地を譲った など
所有権移転登記の際の課税標準は固定資産税評価額となり、この固定資産税評価額は各市町村(東京都23区の場合は都)が算定する固定資産税の基準となる価格のことをさします。
所有権移転登記における登録免許税の計算方法
登録免許税の税額 = 固定資産税評価額× 税率
課税標準 | 税率 | |||
---|---|---|---|---|
所有権移転登記 | 売買 | 建物 | 固定資産税評価額 | 20/1000 |
土地 | 15/1000(~2019/3/31) | |||
相続 | 4/1000 | |||
贈与 | 20/1000 |
所有権移転登記における登録免許税の計算方法の具体例を見ていきましょう。
例えばAさんがBさんの500万円の建物を購入したとします。建物の売買にあたるので計算は500万円×20/1000=10万円となり、10万円が登録免許税として課されることになります。
なお、課税標準額は1,000円未満の端数は切り捨て、登録免許税額は計算後に100円未満に端数が出た場合は切り捨てます。
登録免許税額を確認する: ②所有権保存登記の場合
所有権保存登記とは、「最初に所有者として名前を入れる登記」のことです。最初に所有者として名前を入れるので、つまり「新築の建物における登記」のことを指します。
中古の建物を購入した場合は、所有権が元の所有者から新所有者へと移り変わるので、先ほど説明した所有権移転登記になります。
新築の建物は中古の建物とは違い、固定資産税評価額がまだ算定されていないため、類似する不動産価格を基に法務局が設定した価格を課税標準とします。そのため、どれくらいの課税標準がかかるのか不動産を管轄する法務局にお問い合わせをする必要があります。
新築の建物(所有権保存登記)における登録免許税の計算方法
登録免許税の税額 = 法務局の設定価格 × 4/1000
課税標準 | 税率 | |
---|---|---|
所有権保存登記 | 法務局の設定価格 | 4/1000 |
新築の建物における登録免許税の計算方法について具体的なケースを用いて見ていきましょう。例えば、Aさんが新築の建物を購入して、法務局の認定価格が2000万円だったとします。その場合は、2000万円×4/1000=8万円となり、8万円が登録免許税として課されることになります。
どんな場合に軽減措置がとられるのか
ここまで不動産の購入の際に登録免許税がかかってくる所有権移転登記と所有権保存登記の2つのパターンを見てきました。それぞれのパターンで軽減措置がとられることがあるのでここではくわしくどんな場合に軽減措置がとられるかを見ておきましょう。
中古の建物における登録免許税の軽減措置
中古の建物の売買で所有権の移転登記を行う場合、以下の4つの条件を満たすと税率が3/1000に軽減されます。
①自己居住用の住宅
②取得後1年以内に登記されたもの
③床面積50㎡以上
④マンション等耐火建築物は25年以内、木造等 耐火建築物以外は20年以内に建築されたもの。この年数を超えている場合には、その住宅が新耐震基準に適合していることについて証明されたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のものであること
ただ軽減を受けるためには住宅用家屋証明が必要となってきますので注意してください。また、認定長期優良住宅でマンションなどの共同住宅は1/1000、戸建住宅は2/1000。そして認定低炭素住宅は1/1000に税率が軽減されます。
新築の建物における登録免許税の軽減措置
新築の建物の所有権保存登記の場合、以下の3つの条件を満たすと税率が1.5/1000に軽減されます。
①自己居住用の住宅
②新築または取得後1年以内に登記されたもの
③床面積50㎡以上
なおこちらも軽減措置をうけるためには住宅用家屋証明が必要となってきます。また、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅の場合は税率が1/1000に軽減されます。
まとめ
ここまで不動産購入に関わる登録免許税を中心に見てきました。これから不動産を購入する方は不動産を登記する際に登録免許税が課税されるということを覚えておきましょう。
登録免許税がどのように計算されるのかは所有権移転登記と所有権保存登記の場合の2つに分けて見てきました。また、登録免許税の負担額が大きくなることからも軽減措置がどんな場合にとられるのかも見てきました。
この記事を通じて、登録免許税は何かを正しく理解する際の参考にしていただければと思います。
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河野 清博
経営コンサルティング会社にて、住宅業界のコンサルティングに8年従事。「世界で最も納得感のある購買体験を創る」をコンセプトに⋯ >>アウカについて詳しく