新しく家を建てるときに気になるのが、どんな段取りがあって、どれくらいの期間で完成するの?ということ。
「実際に間も無く住宅工事が始まる!」という人は工事の流れだけでなく、着工が始まる前にしておきたいことや、建設後の第三者による住宅検査の必要性についても確認しておきたいところです。
ここでは、日本で一番多くの方に選ばれている「木造の家」を取り上げ、木造住宅ができるまでの工事の流れや手順についてまとめていきます。また工事の流れの中で家づくりをする人も関わってくるチェックポイントについても合わせて、いっしょに見ていきましょう。
◆この記事を監修する専門家木造住宅工事の工期ってどれくらい?
まず、実際の木造住宅工事の流れの全体像について簡単にみていきましょう。
実際に工事が始まってから完成までの工期の目安は、だいたい6ヶ月前後が平均です。
もちろん住宅工事の種類や住宅の工法によって工期は変わってきますが、以下これから見ていく木造住宅の工事の流れは他の住宅工法と同じような工事内容や手順です。
「注文住宅で家を建てよう!」と思ってから完成までにかかる期間としては工事期間以外の契約手続き期間等も関わってくるので、全体としては、1年かかるというイメージです。
できるだけ工期は短く済ませたいものですが、住宅の工事には半年ほどの一定の期間が必要となってきます。そのため、少し余裕をもった計画を立てるようにしましょう。
家ができるまでの工事の流れ
それでは、家ができるまでの工事の流れを見ていきましょう。
着工準備<1ヶ月〜1.5ヶ月目>
建築用語で、工事が始まることを「着工」、工事が完了することを「竣工」といいます。
ここでは着工前の準備として、地盤調査や地鎮祭などを経て、基礎工事へと進んでいく流れを見ていきましょう。
・地盤調査
工事は地盤調査を実施してからのスタートとなります。地盤調査は土地を購入して家を建てる前に必ず実施しなければならないもの。調査の結果地盤が弱ければ「地盤改良工事」が必要となってきます。もし地盤改良工事が必要となった場合は追加の調査費用として3〜7万円の費用が発生してきます。
・解体工事
もし家を建てる土地にもとの家があった場合は解体工事をする必要があります。
・地鎮祭
地鎮祭とは、工事を始めるにあたってその土地の神様を鎮め、工事の無事を祈る伝統的な儀式のこと。地鎮祭は工事の期間中に行われるものなので、この工事の流れの中で確認しておくとよいでしょう。
家づくりにあたって発生する伝統的な儀式はこの地鎮祭と、のちほど説明する住宅の基本構造ができてから行われる「上棟式」という儀式の合わせて2つですが、最近は上棟式を行わずに地鎮祭だけ行う、という人が増えています。
・基礎工事
基礎工事とは、建物の土台となる部分の工事のことです。具体的には、地縄を張り、基礎の形に合わせて地面を掘り、底に割栗石(わりぐりいし)という地盤をつなぐための砕石などを敷きコンクリートを打っていきます。
※出典:flicker
着工・工事<2〜3ヶ月目>
基礎工事が済んだら、大工が中心になって住宅の骨組みを木材で造っていく「木工事」が進んでいきます。住宅の骨組みができ上がったら「屋根工事」や「外壁工事」を行っていくという流れです。
以下ではその木工事における各工事内容について説明していきます。
・上棟式
上棟式は、基本構造が先ほどの段階でできて、棟木を上げるときに行われる儀式のこと。今後の工事の無事と職人の方々への感謝を表すものになります。
先ほど地鎮祭のところで書いたように、上棟式は最近では行わないところも増えているのと、また神主を呼ばずに棟梁によって行われるケースも多いです。
・ボックス工事
住宅工事の最中に必ずチェックしておきたいのが、電気のスイッチ。電気のスイッチやコンセントのボックス工事は、上棟から約2週間後に行われます。具体的に確認するポイントとしては、
- 電気スイッチの位置が高すぎないか(低すぎないか)
- コンセントの数は十分か
- 電気を使うところに適切にコンセントが配置されているか
などとなります。電気のスイッチやコンセントは後から「ああしておけばよかった」と後悔しやすいポイントになるので、着工時に確認のタイミングをあらかじめ伝えておき、実際に見学できるようにしておきましょう。
・屋根工事
住宅の骨組みができ上がってから行われるのが「屋根工事」。屋根部分の断熱材などもこのときに入れていかれます。
・外壁工事
外壁の塗装などが行われていきます。
・中間検査
中間検査では見られる点は「図面通りに工事が行われているか」「定められた基準通りに補強金物が設置されているか」などといった点です。検査の結果、問題なければ合格証が発行されます。
・造作工事
造作工事とは、住宅の基礎工事や骨組み、屋根、外壁工事など全体的な構造が出来上がったあとに、主に大工が仕上げの前段階として行う工事のこと。壁・天井・床の下地、排水管などが仕込まれたら、9割方完成となります。
竣工<4〜6ヶ月目>
竣工とは工事が完成することです。この段階ではほぼ家づくりは完成している段階で、残りは検査や証明証の交付を行って、晴れて家づくりが完成となります。
・竣工検査、検査済証の交付
竣工検査とは、工事の終了時に、外構も含めて完成した建物に不具合がないかをチェックするための検査のことです。
・施主検査
竣工検査とは別に、施工会社・工事監理者・施主によって行われる最終的な検査のことを「竣工検査」といいます。特に施主が立ち会って行われる検査を「施主検査」ともいいます。
・完成
検査後、問題がなければ施主(依頼主)に引き渡されます。
以上がおよそ半年間におよぶ木造住宅工事の全体の流れでした。見ていただいてわかったように、非常に多くの工程があります。工事を行うのは建設会社になるため、全てを把握しておく必要はありません。
ただ、「地鎮祭」「上棟式」や、ボックス工事におけるコンセントの確認などなど、家づくりをする人が現場に行く必要のあるものもあります。住宅工事の流れの中で、「いつ」「何をする」というのを事前に把握しておきましょう。
工事を進めるポイントは?事前にすべきこと
家の仕様は事前に細かく確認しておく
住宅工事においてよくあるのが、工事が完成し、実際の住宅を見た段階で「こんなはずじゃなかった」となってしまうケースです。
そうならないためにも、住宅会社から「とりあえず家づくりを始めてから考えれば大丈夫」と言われた場合にも、細かい家の仕様や外構にかかる費用なども含めて、入念にチェックしておきましょう。
近隣へのあいさつを済ませておく
住宅工事期間中は、工事による音や建築業者の車や人の出入りなど、周り近所への影響が大きいもの。
周りに建物がない場合であれば、入居を始めたタイミングでもいいかもしれませんが、近所に住宅のある土地での家づくりをする場合は、工事の前に近隣へのあいさつを済ませておきましょう。
そうすることで実際に工事が始まってからのご近所さんの安心感にもつながり、新しい家で暮らし始めた時のご近所さんとの関係性もプラスに働きます。
あいさつをするときは、予定されている工事の期間や騒音などでご迷惑をおかけしてしまうことなどを伝えておくのがポイント。
また、あいさつ時には「ご挨拶」と表書きしたタオルや菓子折りを持っていくのが一般的です。金額としては、1000円前後のもので十分です。
工事期間中の雨は大丈夫?
半年間に及ぶ住宅工事の期間中には、もちろん雨が降る日もあります。ただ、家づくりの最中に気になるのが、雨が降ってきたときのこと。
「木が雨に濡れたらどうしよう?」「住宅基礎コンクリートを入れているときに雨が降ってるけど大丈夫?」など不安はつきませんが、そもそも材質として水を多少含んでも材質の耐久性にはほとんど影響はないものを使用しているため、基本的に問題はありません。
唯一注意が必要な、水に弱いベランダやコーキングなどの防水工事の最中の雨以外にはあまり神経質にならず、養生や乾燥に配慮して工事を進めているかという日頃の建設会社の管理能力の方に注意しましょう。
第三者の住宅検査の必要性
最近では「第三者による住宅検査」として、住宅購入者や施主が自ら検査費用を負担して、施工会社と全く関係ない一級建築士の人に住宅検査を依頼しを行うケースが増えています。
理由としては新築住宅の建築過程において、建築中の住宅検査が適切に行われていないことが少なからずあるからです。
また、そもそも多くの人にとって住宅の不備があるかどうかはわかりませんし、実際に不安に思うところがあっても長期にわたって工事を請け負ってくれていた施工主には直接言いづらいもの。
そこで、第三者の住宅検査の必要性が出てきます。住宅検査を数10万円負担することで、数千万円かけて建てた家にその先長く安心して住めることを考えると、第三者の住宅検査を依頼する人が増えているのも納得できますね。
まとめ
以上が木造住宅で家を建てた場合の建て方の手順とスケジュール、またそれにあたってチェックしておきたいポイントについてでした。
家を建てるまでの住宅ローンで少し疲れてしまったという人もいるかもしれませんが、住宅工事が始まってからも家づくりをする人自身がチェックしておいた方がいいことは多くあります。
工事を進めるにあたってのポイントや全体の流れについてを今一度確認しておきましょう。
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河野 清博
経営コンサルティング会社にて、住宅業界のコンサルティングに8年従事。「世界で最も納得感のある購買体験を創る」をコンセプトに⋯ >>アウカについて詳しく