家づくりをする人にとって、こだわりたいのが「家の間取り」。
「間取りについてなんとなくイメージはあるものの、細かいところまで考えていくのは難しいな…」と、まず何から考え始めたらいいものかと悩んでしまうものです。
ですが、漠然としたイメージだけでは家づくりはできません。家づくりをする人は間取りのイメージを、より具体的に考えなければならないからです。
間取りは、生活の全てに関わってくるもの。だからこそ「家を建てて住んでみたら、思っていた間取りのイメージと違った」「水まわりの導線が使いづらい」などの失敗や後悔がないようにしたいものです。
この記事ではそんな家の間取りについて悩んでいる人のために、「失敗しない間取り」10つのポイントを見ていきます。
◆この記事を監修する専門家目次
「どう過ごしたいか」から間取りを考える
「LDK」は、家の中で一番多くの時間を過ごす「住まいの中心」。そのため、まずはLDKから家の間取りを考えていくのが一般的です。
※出典:Flickr
LDKとは、
- 「L」リビング(居間)
- 「D」ダイニング(食事室)
- 「K」キッチン(台所)
からなるもの。
そこで「LDK」を考えるときに基準となってくるのが、「新しい家ではどう過ごしたいか?」という暮らしのイメージです。「いい間取り」は家づくりをする人のライフスタイルや理想の住まいのイメージによって決まってくるからです。
たとえば、アウトドアが好きな人にとっては、アウトドアグッズの置くことのできる広い玄関や土間が必要です。また、家族の会話があふれる暖かいすまいにしたい人にとっては、コミュニケーションの広がりやすい、開けたタイプのキッチンが適しています。
「家に長い時間いるお母さんにとって一番過ごしやすい家」「ゲストを呼んで楽しく過ごせる家」「家族の会話あふれるあたたかい家」…など、家族の希望をそれぞれ出した上で、リビング、ダイニング、キッチンのスタイルを決めていくのが、LDKから考える間取りのコツです。
収納スペースを十分に取る
そこで、次に考えていただきたいのが、「収納スペースが十分取れているか」という点です。
収納のつくりにおける失敗が、家の間取りでよく起こること。「実際に住んでみたら以外に収納スペースが足りないことに気がついた…」なんてことがないように、収納も含めた間取りのイメージを考えておくようにしましょう。
また、収納のつくりにおいてはスペース以外にも、使い勝手を見てみる必要があります。「ハンガーをかけるスペースをもっと取ればよかった」「メインの収納スペースがロフトにあるるため、毎回はしごを登らなければならない」などの失敗を防ぐためにも、スムーズに使えることを重点に収納のつくりを工夫してみましょう。
家の周りを見てみよう。自然環境に合った間取りにする
次に、家回りの自然環境について考えましょう。日当たりや風通りなどの家の自然環境は、間取り図に直接書いてあるわけではないため、見落としてしまわないように気をつけなければなりません。
間取りには、建てる家周辺の環境が大きく影響してきます。
- 家の日当たりはいいか
- 風通りはいいか
- 家からの眺めはいいか
- 騒音は気にならないか
- 人通りや道路からの視線はどうなっているか
など、家回りの自然環境について考えてことが重要です。
※出典:Flickr
たとえば、日当たりや部屋からの眺めがイメージできていれば、バルコニーや窓の設置のときに役立ちます。また、家を建てようと思っている場所近くの人通りが分かっていれば、休日には人通りが増えて道路から丸見えになってしまう場所にリビングを作ってしまうような危険性も避けることができます。
家の自然環境は目に見えない分、確認するのが難しいところ。季節や時間帯で状況が変化することも想定して考えられるとベストです。間取りを考えるにあたっては、一人で考えるよりも詳しい人に聞いたほうが早いことも多いです。地域の建築会社さんや、地域に住む人の話も聞いて自然環境について確認しながら間取りについて考えるようにしましょう。
「動線」をスムーズにする
先ほどは家の「外」における話でしたが、次は家の「中」における話です。
間取りを考えるにあたって大切なのが、「生活における動線」をイメージすること。動線とは、「キッチンから洗濯のためにお風呂場の近くへ」のように人の動きを線で示したもののことです。「家事をする人の動きを示す動線」「来客があったときの動線」など、家の中で動く人をベースに間取りを検討してみましょう。
これまでは、「キッチンがここで、子どもの部屋がここで…」となんとなくイメージしていたかもしれません。生活における動線をイメージすることで「これでは家事がスムーズにできなさそう」「買い物時のことを考えたら、車の駐車スペースから家の入口までが遠くて困りそうなことに気がついた」など、より理想に近づく形で理想の間取りについて考えることができます。
30年後も住み続けたい間取りにする
自分の親と同居をしたり、子どもが結婚して家を出ていくなど、家の住み方も今度の人生で変わってくるかもしれません。
ライフプランは人によってさまざまです。「今後は子育てを大切にした暮らしをしたい」「将来子どもが結婚して家を出た後は減築して住まいをリフォームしよう」など、今後5年、30年と先のことを考えると、自分にあった間取りの形も変わってきます。
家は一度建てたら終わりではありません。生涯にわたって住み続けようと思っている人の方が多いかもしれません。
将来の家族構成の変化も視野に入れて間取りの広さを考えることで、一生安心できる間取りの設計により近づきます。「今考えている間取りが、自分のライフプランに合っているか」という視点から間取りを考えてみてください。
コンセントの数や位置に注意する
※出典:Flickr
間取りの失敗でよくあるのがコンセントの位置や数の問題です。たとえば、キッチンであれば電子レンジ、冷蔵庫、ミキサーなどそれぞれの電化製品ごとにコンセントが必要となってきます。
「タコ足配線でカバーすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には配線の置きづらいところだったり、そもそもコンセントの位置が遠すぎるためにコードが煩わしくなってしまうなどの問題が起きることも考えられます。
また、部屋の中の使いやすい位置にコンセントをつけ忘れた結果、掃除機をする際にコンセントが遠くて届かない…ということも起きやすいことの一つです。間取りを考える際にはコンセントの位置や数に注意しましょう。
音の伝わり方を考える
次によくある間取りの失敗が、音の気になる間取りにしてしまったケース。
「洗濯機の音がうるさくて、テレビがゆっくり見れない!」「リビングの上の2階から、子どものはしゃぐ音が聞こえてきて気になる!」など、音の発生源との配置を誤ることで音のストレスが生まれてしまいます。
先ほどの家回りの環境のところでは、家の周りの近所の交通量や人の行き来の多さなど、外からの音について触れましたが、実際に住むとなると自分の家からの音にも気をつけなければなりません。お風呂場が道路に面していて、お風呂での子どもの騒ぐ声が周囲にまる聞こえとなってしまって気になってしかたがない…なんてこともあるかもしれません。
ポイントは「音の伝わり方」。「2階から1階へ」「家の中から外へ」などと間取りを考える上でも音の伝わり方を意識しておくことで、音のストレスが生まれないような間取りを作ることができます。
視線のストレスや、プライバシーの問題をチェックする
ご近所さんの目が気になる、というのがよくある問題。家の敷地が狭い場合や、隣り合わせの家が近い場合に気をつけたいです。
たとえば、「リビングの窓を通して隣の家から見えやすい位置になってしまっていて気になる」ということが起きてきます。家の中では、「客間からリビングを通らないとトイレに行けない」などのプライバシーの問題が起きることも考えられます。
また、視線の問題としては「玄関を開けた正面がリビング」「洗面台の扉を開けておくと家じゅうまっすぎにつつぬけ」など、気まずくなることも考えられます。
- リビングの窓など、お隣さんの家からのプライバシーは守られているか
- 玄関を開けたときに見られたくないものが見られる配置になっていないか
などをチェックしながら間取りを作るようにしましょう。
暑さ・寒さの調整のしやすいつくりにする
家の中の温度調整のしづらい設計にしてしまうことです。たとえば、
- 吹き抜けリビングにしたことで、冬はいつも下にくる寒い空気がたまってしまう
- 部屋を広くつくりすぎてしまい、冷暖房が効きにくい
- 窓が一つしかないため、風通りが悪く、夏は熱い空気がたちこめてしまう
などの失敗事例が考えられます。そうなると、必要以上にエアコンを使うために、光熱費が高くなってしまったり、我慢して使わなくなったり、といったことにもなりかねません。
そんな快適からほど遠い家にはしたくないものです。夏は暑く、冬は寒い日本の気候。年中快適に過ごせるような家にするためにも、「床暖房を設置する」「吹き抜けではなく、1階と2階は区切る」など、家の状況に合わせていくことが大切です。
水まわりを一か所にまとめる
間取りの失敗としてよくあるのが、水まわりが一か所にまとまっていないため、下記のような下記のような困ったことが、起きてしまうことです。
家事がしづらくなる
家事において水まわりの導線が複雑だと、洗濯やお風呂、料理などをするたびに行ったりきたり繰り返さなければなりません。
「晩ごはんの準備をしながらお風呂の準備をする」「お皿の洗い物をしながら洗濯機を回す」など、家事はそれぞれ同時に進めることがほとんど。
そのため、水まわりが一か所にまとまっていると、家事を効率的に進めることができます。子育てをするうえでも水まわりが複雑ではない方が助かることでしょう。
費用がさらにかかる
水まわりがまとまっていないことによるデメリットは、給排水設備の配管距離が長くなるためにコストがかかることです。
また、給湯器から遠い場所に水まわりがあると、お湯が出るまで時間がかかることもコストアップの懸念点。水まわりを集中させることで、建築費用、ガス代も安く済ませましょう。
まとめ
以上「失敗しない間取り」10つのポイントについて見てきました。いかがでしたでしょうか?
家の間取りは、住まいの住みやすさを左右する重要なもの。考えるべきことは多いですが、「よくある失敗」というのがあるのも事実。ちょっと知っておくことで、防げる間取りの失敗というのも多いのです。
今回の記事を通して、具体的なイメージをふくらましながら考えることで、それぞれのケースに応じた注意点が分かっていただけたのではないでしょうか。
もしかしたら「全てが完璧」な家づくりというのはないかもしれません。ですが、間取りのポイントについて抑えておくことで、少しでもあなたの理想としている暮らしが実現することを願っております。
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河野 清博
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