断熱等級5・6・7の違いと選び方|断熱・気密の基本からやさしく解説

自然光が入る住宅の窓枠と壁、木の床とカーテン

※冒頭の写真はAI生成による架空の住宅イメージです。特定の断熱等級を取得した施工事例ではありません。

「冬の朝、布団から出るのがつらい」「暖房をつけていても窓際がひんやりする」。新しい家では、こうした寒さを減らして心地よく暮らしたいですよね。そのために知っておきたいのが、家の断熱と気密です。

住宅会社で聞く「断熱等級5・6・7」は、家の断熱性能を比べる目安です。でも、数字だけでは自分たちにどれが合うのか分かりにくいもの。まずは「断熱とは何か」から、身近な例で見ていきましょう。難しい数値を覚えなくても、打ち合わせで聞くポイントはつかめます。

そもそも断熱とは?家の中と外で、熱を伝わりにくくすること

断熱とは、壁・屋根・床・窓などを通じて、熱が出入りしにくくすることです。冬は暖房で暖めた室内の熱を逃がしにくくし、夏は外の熱を室内へ伝わりにくくします。

イメージしやすいのは保温ボトルです。温かい飲み物は冷めにくく、冷たい飲み物はぬるくなりにくいですよね。家も、断熱材や窓の性能を高めることで、外の気温に左右されにくくできます。ただし、家には窓から入る日差しや換気、人・家電から出る熱もあるので、ボトルのように温度を保ち続けるわけではありません。

断熱がよくなると、暮らしはどう変わる?

冷暖房した部屋の温度を保ちやすくなり、冷暖房に必要なエネルギーを抑えやすくなります。冬に冷たくなった窓や壁の近くで感じる、ひんやり感を和らげることにもつながります。断熱性に優れた住宅の快適性(国土交通省)

ただし、断熱だけで家中が同じ温度になるわけではありません。リビングだけを暖房するのか、廊下や脱衣所も暖めるのかによっても変わります。「どの部屋で、いつ、どう過ごしたいか」とセットで考えましょう。

気密とは?家のすき間を少なくすること

気密(きみつ)とは、家にあるすき間を少なくして、意図しない空気の出入りを抑えることです。窓を閉めていても、壁や床のつなぎ目などにすき間があれば、そこから空気が出入りします。

冬の上着で考えると、断熱は「生地が熱を伝えにくいこと」、気密は「ファスナーを閉めて風が入りにくいこと」に似ています。暖かい上着でも、前が大きく開いていると寒いですよね。家も、断熱と気密を一緒に整えることが大切です。これは役割の違いをつかむためのたとえです。

言葉 やさしく言うと 住宅会社に聞くこと
断熱 壁や窓などから熱を伝わりにくくする どんな窓・断熱材を使いますか?
気密 すき間からの空気の出入りを抑える すき間の少なさを実際に測りますか?
換気 必要な空気の入れ替えを計画して行う 換気設備の使い方と掃除の方法は?

すき間をなくしたら、空気がこもらない?

そこで必要になるのが換気です。すき間風に任せず、設備で必要な空気を入れ替えると考えると分かりやすいでしょう。気密を高めることと、換気をやめることは別です。

24時間換気の設備は取扱説明書に従って使い、フィルターも掃除します。「暖気が逃げそうだから」と止めずに、寒さが気になる場合は住宅会社へ相談しましょう。気密性と計画換気に関する資料(国土交通省)

断熱等級5・6・7の違いは?数字が大きいほど熱が伝わりにくい

断熱等級は、正式には「断熱等性能等級」といいます。同じ地域の基準で比べると、等級5より6、6より7のほうが、高い断熱性能を求められます。まずは、この順番を押さえれば大丈夫です。

一方で、「等級6なら冬でも必ず室温○℃」「等級7ならエアコン不要」と決まっているわけではありません。窓の日当たり、気密、冷暖房の使い方なども関係するからです。

等級 性能の違い 選ぶときの確認ポイント
断熱等級5 今回比べる3つの中では、断熱性能の基準が最も低い 標準仕様が5なら、6にする差額と変更点を聞く
断熱等級6 5より熱が伝わりにくい性能を求める 追加費用と、期待できる室内環境の違いを比べる
断熱等級7 3つの中で最も高い断熱性能を求める 6からさらに上げる費用と、予算全体とのバランスを見る

寒さの厳しい地域と暖かい地域では、求められる基準が違います。「うちの建築予定地では、どの基準になりますか?」と聞けば、地域区分を暗記する必要はありません。断熱性能の見方(国土交通省)

わが家はどれを選ぶ?暮らし・体感・費用の順に考えよう

1.まず、今の家で困っていることを書き出す

「高い等級がいい」と伝えるだけでなく、具体的な希望を3つほど挙げてみましょう。例えば、次のような内容です。

  • 冬の朝、着替える部屋の寒さを減らしたい
  • 在宅勤務で昼間もリビングを使うので、長時間過ごしやすくしたい
  • 大きな窓は欲しいけれど、夏の暑さも抑えたい

こうした希望があると、住宅会社も断熱だけでなく、窓の位置や冷暖房の計画まで含めて提案しやすくなります。

2.見学では「暖かかった理由」も聞く

モデルハウスや完成見学会では、窓の近く、廊下、脱衣所なども確認してみましょう。その際は、外の気温、暖房の設定、何時間運転しているかも聞きます。

一度の見学だけで、等級による差を正確に比べることはできません。それでも、自分が気になる場所を確かめながら「この過ごしやすさは、わが家の間取りでも実現できますか?」と聞く材料になります。

3.同じ間取りで、等級を上げる追加費用を出してもらう

等級を一つ上げる費用は、全国一律ではありません。窓を変えるのか、断熱材の種類や厚さを変えるのか、もとの標準仕様によっても差が出ます。

まずは「この間取りのまま、等級5と6では総額がいくら変わりますか?」と聞いてみましょう。標準が等級6なら、6と7を比べます。キッチンなど断熱以外の変更費が混ざっていたら、分けて説明してもらうと判断しやすくなります。

等級5を選ぶことが一律に間違いというわけではなく、7がすべての家庭に最適とも限りません。希望する快適さと、無理なく払える金額が合うかを、家づくりの資金計画と一緒に考えましょう。

光熱費はどれくらい変わる?わが家の使い方で比べよう

熱が逃げにくくなれば、同じ室温を保つための冷暖房の負担を減らしやすくなります。ただし、毎月の請求額には、お風呂や家電の使用分なども含まれます。断熱等級が上がった分だけ、光熱費全体が同じ割合で下がるわけではありません。

試算を頼むときは、「平日の昼は不在」「在宅勤務で一日中エアコンを使う」といった生活パターンを伝えましょう。家の広さ、設備、電気・ガスの単価もそろえて比べます。省エネ性能ラベルの目安光熱費も、一定の条件で計算した比較用の数値です。目安光熱費の見方(国土交通省)

例えば、仮に追加費用が100万円、年間の節約額が3万円なら、単純計算では回収に約33年かかります。これは相場や節約効果の予測ではなく、考え方を示す例です。借入の利息や将来の料金変動は含んでいません。

費用の回収だけでなく、「毎朝の寒さを減らしたい」といった希望も判断材料になります。設備の買い替え費用など、住み始めてからの維持費も含めて予算を残しておきましょう。

もう少し知りたい人へ:UA値・C値をやさしく整理

打ち合わせで専門用語が出てきたら、ここだけ見返してください。UA値は熱の伝わりやすさ、C値はすき間の多さを表す目安です。同じ条件で比べると、どちらも小さいほどよい性能を示しますが、測っているものは別です。

UA値(ユーエーち):壁や窓などから熱が伝わる程度

UA値は、壁・屋根・床・窓など全体の熱の伝わりやすさを計算した数字です。正式名は「外皮平均熱貫流率」ですが、まずは「小さいほど熱が伝わりにくい」と覚えておけば十分です。

一例として、国の地域区分で「6地域」に当たる場所では、UA値の基準は等級5が0.60以下、6が0.46以下、7が0.26以下です。これは6地域のUA値だけの抜粋で、別の地域にそのまま使える数値ではありません。等級の判定には、夏の日差しの熱がどれだけ入りやすいかを示す「ηAC値(イータエーシーち)」などの条件も関わります。地域ごとの基準を含む資料(国土交通省)

C値(シーち):実際の家にどれくらいすき間があるか

C値は、家のすき間の量を床面積あたりで表したものです。実際の建物で気密測定をして確認します。断熱等級が高いからといって、それだけですき間の少なさまで分かるわけではありません。

住宅会社には「気密測定はしますか?」「いつ測りますか?」「目標に届かないときはどう対応しますか?」と聞きましょう。専門の測定事業所は、IBECsの公開一覧でも確認できます。

断熱等級について、よくある疑問

断熱等級7ならエアコンはいりませんか?

等級だけで不要とはいえません。断熱は熱の出入りを抑えるもので、家そのものが冷気や暖気をつくるわけではありません。地域や間取りに合う冷暖房の計画が必要です。

断熱をよくすると、夏も必ず涼しくなりますか?

外の熱は伝わりにくくなりますが、窓から強い日差しが入ると室内が暑くなることもあります。軒や庇、外付けの日よけで日差しを遮る方法も相談しましょう。断熱・日よけ・冷房を合わせて考えることが大切です。

2025年から断熱等級6が義務になったのですか?

いいえ。2025年4月から原則すべての新築住宅などに省エネ基準への適合が義務付けられましたが、すべての新築住宅に等級6を求める制度ではありません。制度の案内(国土交通省)。補助金には別の要件があるため、利用したい場合は住宅補助金の確認方法もご覧ください。

迷ったら「今の家で困っていること」から相談しよう

断熱等級を選ぶために、専門用語を全部覚える必要はありません。まずは、今の家で感じている寒さや暑さ、在宅時間、予算を伝えるところから始めてみましょう。打ち合わせでは、次の3つを聞けば比較の出発点になります。

  1. 標準の断熱等級で、私たちの希望にどう対応できますか?
  2. 等級を上げると、窓や断熱材、費用は何が変わりますか?
  3. 気密測定と、換気・冷暖房の計画はどうなっていますか?

同じ等級でも、間取りの提案や施工の確認方法、入居後の対応は会社ごとに違います。住宅会社を比較するときのチェックリストも参考に、自分たちに合う提案を比べてみてください。住宅会社選びから相談したい方は、アウカの相談内容・利用方法をご確認ください。

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情報確認日:2026年9月9日。地域区分・適用基準・補助制度は建築地と申請時点で確認してください。計算例は仮定であり、性能や光熱費を保証するものではありません。

自然光が入る住宅の窓枠と壁、木の床とカーテン